028805 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

第30部「生きとし生ける者」



下水道  野乃・北極   13時42分
2人の足取りに疲れが見えていた
「・・・ヤバい、疲れた。。。本当にこっちで合ってるの・・・?」
「お、俺にも分かる訳ないだろぉ・・・とりあえず行動はしないと・・・な」
「そうは言ってもぉ・・・間違ってちゃぁ・・・」
「・・・・あんまり俺に、ん?」
「え?」
「・・・・こっちで合ってたみたいだな」
「え、どうし・・・」
野乃の表情が強張った
「・・・・おや?いけないなぁ・・・こんなとこにいては」
2人の目の前に一人の男が歩いて来た
「誰だ」
「政府の人間か・・・?」
男は2人の首元を見て、
「・・・キミ達が侵入者ですか」
「・・・なぜそう?」
「首に機械が付いていないですよ」
「・・・けっ、そんなバトロワみてーな束縛があったとはな・・・!」
「・・・・束縛とはまた酷い言い方を」
「てめぇが立花か」
「いえ、立花さんは違う方です。私は白川といいます、今後お見お知りを」
「今後なんてねぇよ」
「あら、また酷い言い方を・・・」
白川がそう言った瞬間、北極はバッグから銃を取り出して撃った
[ガチッッッ!!]
[バンッッ!!]
北極が銃を撃つ瞬間に白川が一気に間合いを詰め、腰に指していた日本刀を抜き、銃に下から突き刺した
銃は刀が刺され、少し上に向いた
逸れた銃弾が白川の前髪を翳めた
「・・・・これはまた残念な」
白川は笑いながら言った
「・・・くッッ!!」
北極が銃を引こうとした
「遅い」
[シュッーーー]
白石が刀を振ると銃の先端部分が下に落ちた
そしてもう一度、音もなく日本刀を横に振るった
[キンッッッ!!]
白石の日本刀に、日本刀が重なった。一瞬火花が散った
その刀の持ち主は野乃だった
「野乃・・・!その刀どこで・・・」
「今、そこに落っこちてた・・・!」
「あんがとょ」
「・・・・ふんッ」
白石は刀を引き、2~3歩下がった
「これ使いな」
「サンクス」
「政府の人間はみんな日本刀を持っているらしいね、なんでかわかんないけど」
「そうか・・・」
「さっき兵士の死体が持ってた」
「・・・・」
一度黙って北極が小さな声で、
『俺が戦ってる隙に本部の方向へ行け』
『・・・え?でも北極は』
『良いからだ。・・・今ヘリの運転が出来て、正式に脱出の経路くれんのは、生徒ん中でお前しかいねーんだ・・・お前が死んだら他のみんなを助ける事はおろか、脱出すら出来ねー・・・』
そして野乃が少し声を大きくして
「・・・・あぁ」
野乃の目付きが変わった
「・・・何をしようとしてるのやら・・・」
白川は笑った
[カチャッ!]
北極は日本刀を構えた
・・・・そして走り出した
「はっ!!」
北極は日本刀を下から振り上げる
「・・・!」
白川は後方へと下がり、それを避ける
「・・・・」
北極はもう一度白川に向かって刀を振った
[カキンッ]
白川は刀を重ね、競り寄った

『今だ・・・・!!』

野乃は低い体制で一気に走り出した
「なっ・・・!」
「よしッ・・・!!」
白川は気付くのが遅かった、だが、気付いたが何もしなかったようにも見えた
「あら、逃げられちゃいました」
そう言って2歩下がる
「追わせねー!」
「追いませんよ」
「・・・なんのつもりだ?」
「なんのつもりでも?」
「・・・いちいち勘に触る野郎だなぁ!!」
「はは」
「死ぬ前に笑ってんじゃねー!!」
北極は近付き刀を横に思いきり振った
[ギンッッッ!!!!]
白川は思いきり弾いた
そして白川は刀の反動を受けたまま一回転して斬り掛かった
「くっ・・・!!」
北極が刀に刀を重ねようとした瞬間。白川はギリギリで刀の軌道を変えた
[ドスッ]

「あらっ、残念」
「あ・・・ぁっ・・・」
刀は、北極の右脇腹に刺さっていた
「・・・終わりですか?」
「・・・・くっ!!」
北極は跪いた
[スッ・・・]
白川は刀を引いた
「・・・・」
北極は苦しそうに喋る
「・・・政府は、何がしたいん・・・だ」
「・・・・」
「何の為に・・・俺達に殺しあいをさせようとした」
「・・・・」
「た・・・ただの遺産相続じゃねーだ・・・ろが」
「・・・喋り過ぎだ」
白川はゆっくりと刀を振り上げた
「死ぬが良い」
「・・・そっちがな」
北極の表情が変わった」
「・・・・なッ!!」
[ザシュッッーーー!!]
北極は思いきり刀を白川に向かって振り上げた
「なぜ・・・動け。。。」
[ブシュー・・・]
白川から大量の血液が吹き出た
「なぜ動けるかって?」
「・・・・ぐ・・」
白川は止まらぬ血に苦しんでいる
「・・・防弾チョッキのお陰だな」
そう言って上着を脱いだ
「・・・・くそ」
血液は止めどなく流れた
北極は笑った、油断した
[ザクッ]

「・・・・ッ!」
北極は、痛みが走った腹部をゆっくりと見た
自分の腹部からは刀の先端部が少し顔を出していた
「・・・・なっ・・・」
後ろを死にかけた兵士の一人が、背中から北極を指していた
・・・北極が見た時には、兵士はもう死んでいた
「ちっ・・・くしょぉー!!!!」
北極は、その刀を抜き、その場に跪いた
「はっは・・・・ははははッ!!!バカめ!!油断したなッ・・・ははは!!」
「・・・・」
北極はゆっくりと、手に持っている刀を重心に、立ち上がった
「・・・お、お前もここで死ぬんだ・・・ここで、死」
[ザキュゥッッ!!]
両膝を突いたまま、白川の頭部に日本刀を突き立てた
先程より大量に血が出た
「・・・・くそっ」
北極は、壁を使って立ち上がった
そして白川から日本刀を抜き、鞘に締まった
「・・・・・」
北極は壁伝いに本部の方向へと向かった


「・・・・あとは」

そう言った、





© Rakuten Group, Inc.