第30部「生きとし生ける者」下水道 野乃・北極 13時42分 2人の足取りに疲れが見えていた 「・・・ヤバい、疲れた。。。本当にこっちで合ってるの・・・?」 「お、俺にも分かる訳ないだろぉ・・・とりあえず行動はしないと・・・な」 「そうは言ってもぉ・・・間違ってちゃぁ・・・」 「・・・・あんまり俺に、ん?」 「え?」 「・・・・こっちで合ってたみたいだな」 「え、どうし・・・」 野乃の表情が強張った 「・・・・おや?いけないなぁ・・・こんなとこにいては」 2人の目の前に一人の男が歩いて来た 「誰だ」 「政府の人間か・・・?」 男は2人の首元を見て、 「・・・キミ達が侵入者ですか」 「・・・なぜそう?」 「首に機械が付いていないですよ」 「・・・けっ、そんなバトロワみてーな束縛があったとはな・・・!」 「・・・・束縛とはまた酷い言い方を」 「てめぇが立花か」 「いえ、立花さんは違う方です。私は白川といいます、今後お見お知りを」 「今後なんてねぇよ」 「あら、また酷い言い方を・・・」 白川がそう言った瞬間、北極はバッグから銃を取り出して撃った [ガチッッッ!!] [バンッッ!!] 北極が銃を撃つ瞬間に白川が一気に間合いを詰め、腰に指していた日本刀を抜き、銃に下から突き刺した 銃は刀が刺され、少し上に向いた 逸れた銃弾が白川の前髪を翳めた 「・・・・これはまた残念な」 白川は笑いながら言った 「・・・くッッ!!」 北極が銃を引こうとした 「遅い」 [シュッーーー] 白石が刀を振ると銃の先端部分が下に落ちた そしてもう一度、音もなく日本刀を横に振るった [キンッッッ!!] 白石の日本刀に、日本刀が重なった。一瞬火花が散った その刀の持ち主は野乃だった 「野乃・・・!その刀どこで・・・」 「今、そこに落っこちてた・・・!」 「あんがとょ」 「・・・・ふんッ」 白石は刀を引き、2~3歩下がった 「これ使いな」 「サンクス」 「政府の人間はみんな日本刀を持っているらしいね、なんでかわかんないけど」 「そうか・・・」 「さっき兵士の死体が持ってた」 「・・・・」 一度黙って北極が小さな声で、 『俺が戦ってる隙に本部の方向へ行け』 『・・・え?でも北極は』 『良いからだ。・・・今ヘリの運転が出来て、正式に脱出の経路くれんのは、生徒ん中でお前しかいねーんだ・・・お前が死んだら他のみんなを助ける事はおろか、脱出すら出来ねー・・・』 そして野乃が少し声を大きくして 「・・・・あぁ」 野乃の目付きが変わった 「・・・何をしようとしてるのやら・・・」 白川は笑った [カチャッ!] 北極は日本刀を構えた ・・・・そして走り出した 「はっ!!」 北極は日本刀を下から振り上げる 「・・・!」 白川は後方へと下がり、それを避ける 「・・・・」 北極はもう一度白川に向かって刀を振った [カキンッ] 白川は刀を重ね、競り寄った 『今だ・・・・!!』 野乃は低い体制で一気に走り出した 「なっ・・・!」 「よしッ・・・!!」 白川は気付くのが遅かった、だが、気付いたが何もしなかったようにも見えた 「あら、逃げられちゃいました」 そう言って2歩下がる 「追わせねー!」 「追いませんよ」 「・・・なんのつもりだ?」 「なんのつもりでも?」 「・・・いちいち勘に触る野郎だなぁ!!」 「はは」 「死ぬ前に笑ってんじゃねー!!」 北極は近付き刀を横に思いきり振った [ギンッッッ!!!!] 白川は思いきり弾いた そして白川は刀の反動を受けたまま一回転して斬り掛かった 「くっ・・・!!」 北極が刀に刀を重ねようとした瞬間。白川はギリギリで刀の軌道を変えた [ドスッ] 「あらっ、残念」 「あ・・・ぁっ・・・」 刀は、北極の右脇腹に刺さっていた 「・・・終わりですか?」 「・・・・くっ!!」 北極は跪いた [スッ・・・] 白川は刀を引いた 「・・・・」 北極は苦しそうに喋る 「・・・政府は、何がしたいん・・・だ」 「・・・・」 「何の為に・・・俺達に殺しあいをさせようとした」 「・・・・」 「た・・・ただの遺産相続じゃねーだ・・・ろが」 「・・・喋り過ぎだ」 白川はゆっくりと刀を振り上げた 「死ぬが良い」 「・・・そっちがな」 北極の表情が変わった」 「・・・・なッ!!」 [ザシュッッーーー!!] 北極は思いきり刀を白川に向かって振り上げた 「なぜ・・・動け。。。」 [ブシュー・・・] 白川から大量の血液が吹き出た 「なぜ動けるかって?」 「・・・・ぐ・・」 白川は止まらぬ血に苦しんでいる 「・・・防弾チョッキのお陰だな」 そう言って上着を脱いだ 「・・・・くそ」 血液は止めどなく流れた 北極は笑った、油断した [ザクッ] 「・・・・ッ!」 北極は、痛みが走った腹部をゆっくりと見た 自分の腹部からは刀の先端部が少し顔を出していた 「・・・・なっ・・・」 後ろを死にかけた兵士の一人が、背中から北極を指していた ・・・北極が見た時には、兵士はもう死んでいた 「ちっ・・・くしょぉー!!!!」 北極は、その刀を抜き、その場に跪いた 「はっは・・・・ははははッ!!!バカめ!!油断したなッ・・・ははは!!」 「・・・・」 北極はゆっくりと、手に持っている刀を重心に、立ち上がった 「・・・お、お前もここで死ぬんだ・・・ここで、死」 [ザキュゥッッ!!] 両膝を突いたまま、白川の頭部に日本刀を突き立てた 先程より大量に血が出た 「・・・・くそっ」 北極は、壁を使って立ち上がった そして白川から日本刀を抜き、鞘に締まった 「・・・・・」 北極は壁伝いに本部の方向へと向かった 「・・・・あとは」 そう言った、 ジャンル別一覧
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